[159]収差補正方法 投稿者:kt 投稿日:00/11/08(水) 09:09
みなさんこんにちは。
レンズを通して得られた画像の収差をソフト的(座標変換して)に補正する
必要があり、その計算式を探しています。ご存じのかた教えていただけないでしょうか。まず最初にサイデルの5収差のうち歪曲収差(糸巻き、樽)について
手がけてみたいと思っています。またこれについて詳細が書かれている書籍等
情報ありましたらあわせてお願いします。


レス: レンズ屋 投稿日: 00/11/08(水) 10:06
歪曲D(%)は
D=(YーH)/H×100 
と表されます。
ここで
Yは、実際の像高
Hは、理想像高
です。
従って、歪曲D(像高の関数)があらかじめわかっていれば、実際の各像高Yに対して補正すべき理想像高Hがわかります。
3次収差の範囲ではDは像高の2乗に比例するので、特定のある像高(たとえば最大像高)に対するDがわかれば、中間像高に対してもDの値が類推できます。
しかし、現実には5次収差の影響も無視できない場合が多く、ここらをどう処理するかが工夫のしどころです。

書籍では「光学入門」(岸川利郎著 オプトロニクス社)が参考になります。

私は、座標変換で補正できる収差は歪曲だけのように思いますが・・。

レス: 村瀬 投稿日: 00/11/08(水) 14:28
村瀬です

たぶんktさんは歪みの形(糸巻き、樽)から、ややこしい座標変換
が必要と考えられているのではないでしょうか?
普通のレンズは画面中心に向かって、伸びるか縮むかの方向にしか
像の移動はありません。レンズが円対象であることを考えれば、
これは自明ですね。
結果として、四角いものが糸巻き形や樽形になるだけです。

私は、座標変換すべき位置の決定より、その位置のデータを格子状
の元データからどのように作成するかの方が、ずっと難しいと思いま
すよ。
変換位置は当然中途半端な位置(格子点ではない間の位置)になります。
簡易的には、バイリニア・アルゴリズムが良く使われますが、MTFの
高域特性の劣化を最小限に抑えるためには、2次元のポリフェーズ
フィルタを使用する必要があります。
2次元ポリフェーズフィルタについては、沢山出ているディジタル
信号処理の専門書を読まれることをおすすめします。


> 私は、座標変換で補正できる収差は歪曲だけのように思いますが・・。

RGBのデータが別々に得られるので、色収差も補正できそうです。
なせ色収差は「サイデルの5収差」に入っていないのですか?
かなり重要な収差だと思うのですが、、、、

他の収差の補正はかなり困難です。
原理的には、CCDの各位置に対するレンズの2次元伝達関数の逆特性
となる2次元フィルタを作成すればキャンセルし合って元にもどります。
ただし、時に逆特性フィルタが存在しない(厳密には不安定になる)
ことが多々ありますので、運が良い場合だけ直せることになります。
だいたい、2次元の逆特性フィルタの導出はすっごくむつかしいですよ。
私にはできません。

レス: kt 投稿日: 00/11/08(水) 19:00
ktです。早速のレスありがとうございます。
>伸びるか縮むかの方向にしか像の移動はありません
このように考えるとわかりやすいです(確かに!)
ところで歪曲収差の補正式を探しているうちに
Y1/Y = m − EY^2
という式をみつけました。実物の中心からの距離がY、像の
中心からの距離がY1らしいのですがmとEについては説明が
なく光学初心者の私にとってはそれが何なのかよくわかりません。
できればこの式についても解説していただきたいのですが。。
勉強することが必要と感じ「光学入門」は早速手配することにしました。

レス: レンズ屋 投稿日: 00/11/08(水) 23:02
> その位置のデータを格子状の元データからどのように作成するかの方が、ずっと難しい

なるほどちゃんとやろうとすると大変そうですね。
私は「Photoshop」の球面変形程度の変形を想像していました。

> RGBのデータが別々に得られるので、色収差も補正できそうです。

なるほど「倍率の色収差」は補正できそうですね。

> なせ色収差は「サイデルの5収差」に入っていないのですか?

sinθ=θ−θ^3/3!+θ^5/5!・・
と展開できますね。
スネルの法則に出てくるsinθを上の展開式の第1項で近似したのが近軸理論です。この場合は光線は必ず1点に集まり、収差は現れません。
1855年、ザイデル(L.Seidel 1821〜1896 独)氏はに上の展開式の第2項までとって近軸値と比較し、5つの収差が現れることを示しました(3次収差論)。そこでこの5収差をザイデルの5収差といいます。
一方、色収差は光の波長によってガラスの屈折率が異なることによって生じます。
以上のように収差の発生原因が異なるので、ザイデルの5収差には色収差が含まれていません。
なお、ザイデルの5収差を別名「単色収差」ともいいます。

>原理的には、・・2次元フィルタを作成すればキャンセルし合って元にもどります。

こんなマジックが存在する可能性があるとは知りませんでした。
村瀬さん、ありがとうございます。

> mとE

mは倍率
Eは歪曲に関連する係数
だと思います。
3次収差の範囲では、像の位置誤差が像高の2乗に比例することを表したものです。