| [150]大判カメラのフレネルレンズ |
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投稿者:村瀬 |
投稿日:00/10/27(金) 14:35 |
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大判カメラを使用していて疑問に感じたことがありますので、質問します。
疑問は、大判カメラのフレネルレンズについてです。
大判カメラのピントグラスにフレネルレンズが付いているのはご存知でしょうか?
一応説明しますと、ピントグラスのすりガラス面にフレネルレンズのレンズ面を密着させた形で付いています。つまり、ピント面(すりガラス面)とレンズの間に、フレネルレンズが入っています。
この状態で、ピントを合わせた後に、フレネルレンズごとピントグラスを取り外して、すりガラスの位置にフィルムをセットします。この時、フレネルレンズによるピント面の移動を補正するため、フィルムは、ピントグラスの位置よりわずかにレンズ側にセットされるしくみになっています。
私の疑問は、ピントの移動量はピントグラス上の位置により異なるのではないか?
ということです。
光軸から離れるに従って、ピントの移動量は増えていくと思います(特に広角レンズでその影響が大きい)。
つまり、フレネルレンズを付けるとピント面は平面ではなくなってしまい画面全部で正確にピント合わせをすることが困難になると思います。
私の考えは正しいでしょうか?
自信がないので、教えて下さい。
レス: レンズ屋 投稿日: 00/10/27(金) 15:28
私は、ピントの移動量は画面内のどこでも一定だと思います。
フレネルレンズは厚みが一定で、フィールドレンズとして使われているため、像面湾曲に影響しないと考えられるからです。
村瀬さんは、どうして広角レンズほどピント面が湾曲すると考えたのですか?
レス: 村瀬 投稿日: 00/10/27(金) 17:01
すばやいレスありがとうございます。
私の考えを説明します。
(図を使わずに説明するのって、むつかしいですね。でもがんばってみます。)
まず、フレネルレンズですが、レンズ面がピント面に接触しているため、レンズとしての役割(?)は果たしていませんので、平面ガラスに置き換えても今の議論に関しては、同じ効果になります。
レンズ側のフレネルレンズ表面から L だけ入った位置が本来のピント面とします。(フレネルレンズを置かないと、L
の位置がピント面という意味です。)
光軸上にある、L の位置の点を考えます。
理想レンズなら、光軸上の物体から出たすべての光線が
L に向かって集まりますが、フレネルレンズを置いた場合、表面で屈折して、L+α
の位置に向かって集まることになります。そう考えると、湾曲は発生しません。
私は、浅い角度で入る光線(レンズの周辺部から
L に集まってくる光線)ほど、深い位置に集光すると考えました。(というか、単純に作図して計算するとそうなると思うのですが、、、)
つまり、1点では集光しなくなることになります。
この考えを画面周辺に応用すると、画面周辺部はもともと浅い角度で入射する光線が主ですので、結果として、ピント位置が深くなると考えました。
どこか間違っているでしょうか?
レス: 村瀬 投稿日: 00/10/27(金) 17:03
とことで、フィールドレンズってなんですか?
レス: レンズ屋 投稿日: 00/10/27(金) 19:09
> 浅い角度で入る光線ほど、深い位置に集光すると考えました。
その通りです。深い考察ですね。
これは「平行平面板による球面収差」と呼ばれます。
ご指摘の通り平行平面板があると最良像面は深い位置に移動します。
私が計算したところでは、屈折率1.5で厚さ1mmの平行平面板にFナンバー1.4の光束を入れた場合、球面収差によって最良像面位置は0.017mm深くなりました。
その量は、平行平面板の厚さに比例し、Fナンバーの2乗に反比例します。
> 画面周辺部はもともと浅い角度で入射する光線が主ですので、ピント位置が深くなると考えました。
私は思い至りませんでしたが、なるほど、これもそうなりそうですね。
確認のため、計算してみました。
上と同じ条件のとき、
入射角が10°で像面湾曲量は0.010mm
入射角が20°で像面湾曲量は0.041mm
入射角が30°で像面湾曲量は0.093mm
でした。
許容錯乱円径を0.03mm、Fナンバーを1.4とすると、焦点深度は±0.04mm程度ですから入射角が大きくなってくるとこの像面湾曲は無視できなくなってきます。
カメラメーカーはその影響が無視できる範囲でフレネルレンズ厚を設置したものと推測されます。
(注記)広角レンズを使った場合のフィルムへの入射角
画角±45度の広角レンズはフィルムに対しても±45度で光が入射するかというと、必ずしもそうではありません。
フィルム側から見たレンズの絞りの虚像を「射出瞳」と呼び、フィルムから射出瞳までの距離を「射出瞳距離」と言います。フィルム中央から「射出瞳距離」だけ離れた位置に点光源があり、そこからフィルム各部に光が降り注ぐ様子を思い浮かべてください。つまり、フィルムへの入射角は、(像高/射出瞳距離)のアークタンジェントになります。広角レンズであってもバックフォーカスは長いため、射出瞳距離は最大像高よりかなり遠いのが通例です。つまり、フィルムへの入射角は45°よりかなり小さくなります。この様子は、このサイトの「レンズデータライブラリ」の「広角レンズ」の「ディスタゴンF3.8」や「明るい広角F1.3」の光路図を見るとよくわかります。フィルムに対しては意外に小さな入射角で光線が到達していますね。
なお、フィールドレンズとは像面に設置されるレンズのことです。結像には影響を与えず、光線の進む向きだけを変える、と私はこれまで認識していました。今回、村瀬さんのご指摘で初めて結像にも影響を与えることを認識しました。ありがとうございました。
レス: 村瀬 投稿日: 00/10/27(金) 19:50
計算していただき、ありがとうございます。
私の考えに間違えがないことが分かって、嬉しいです。
> カメラメーカーはその影響が無視できる範囲でフレネルレンズ厚を設置したものと
> 推測されます。
どうやら、大判カメラのフレネルレンズは、広角レンズ使用時は影響が出る範囲に入ってしまっているようです。使用してみてそう感じます。
> 画角±45度の広角レンズはフィルムに対しても±45度で光が入射するかというと、
> 必ずしもそうではありません。
これは知りませんでした。たしかに図を見るとそうですね。
ただ、大判レンズは画角と入射角がかなり近いと想像します。
というのは、フィルムに対して、レンズがかなり小さいからです。
大判レンズのタイプの名称は私にはわかりません。
以下のHPに図があるので、参考にして下さい。(これらは広角レンズです)
http://www.schneideroptics.com/large/super_angulon/super.htm
Super-Angulon XL 5.6/47mm
などは画角120度もありますので、かなり影響が出ていると思います。
光学は素人ですが、これからもよろしくお願いします。
レス: レンズ屋 投稿日: 00/10/28(土) 13:09
Super-Angulon は絞りに対してレンズ配置がほぼ対称形になっていますので、確かに画角と入射角が近いはずです。村瀬さんが「大判レンズ」とおっしゃているのに、私は「35ミリ一眼レフ用レンズ」を想定していました。すいません。
入射角60度で厚さ1mmの平行平面板に入射した場合、像面湾曲は0.38ミリでした。かなり大きいですね。
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