レンズの設計・製作および光学技術導入サポート

事例集:設計・シミュレーション・検査事例など

ここに挙げたレンズは、レンズ屋で設計したものです。

テレセントリック画像入力レンズ

このレンズは小さな機械部品の寸法を計測するために設計したものです。 機械部品をレンズ下12mmに設置し、その画像をCCDカメラで取り込み、画像処理によって寸法を計測します。しかし、通常のレンズで画像を取り込むと、厚い部品ほど大きな画像になってしまい、計測誤差が生じます。そこで、このレンズは物体側テレセントリックな構成としてあります。さらに、温度変化による鏡筒の伸縮によってレンズからCCDまでの距離が変った場合にも寸法計測誤差が生じないよう像側もテレセントリック(光学用語集:テレセントリック)になっています。このレンズで画像を入力することにより、機械部品寸法を極めて高い精度で計測することができます。

●仕 様

倍率 0.96倍 物体側NA 0.17 最大像高 3mm(1/3インチCCD対応)
物像間距離 58.9mm 作動距離 12mm 波長域 486~656nm(青~赤)
その他 両側テレセントリック

●計算値

レンズデータ レンズの設計値は、「レンズデータ」と呼ばれるひとまとめの数値で表されます。これはレンズの曲率、間隔、材質を各面ごとに指定したものです。
製作図面 レンズの設計が終わるとレンズの製作図面を作成し、これに基づいてレンズを加工します。

●シミュレーション

光路図 物体上の1点から出た光がレンズ系を通過していく様子を表した図です。この図によって各レンズの働きを知ることができます。
立体図 光路図を立体表示したものです。
球面収差図 横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さで、光線が光軸と交わる位置をプロットしたものです。入射高さによってこの位置は変わります。これが球面収差です。
波長によっても結像位置が異なります。これが軸上色収差です。
像面湾曲と歪曲収差図 左のグラフの横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さです。像面湾曲と非点収差の様子がわかります。右のグラフの横軸は像の歪み量(%)、縦軸は像の高さを表したものです。像高によって像の歪みが変化する様子がわかります。
横収差図 横軸に光線が入射瞳に入る位置、縦軸に像のにじみ量を表したグラフです。このレンズの像のにじみは約±10ミクロンであることがわかります。
スポットダイヤグラム 横収差図と同様に、物体上の1点から出た光線群が像面上でにじむ様子を表した図です。スケールが40ミクロンですのでにじみ量は直径約20ミクロンであることがわかります。
MTF MTF曲線によって物体のどこまで細かい部分まで解像できるか知ることができます。
スルーフォーカスMTF ピント位置を変えた場合の像のコントラストの変化を表したグラフです。横軸はデフォーカス量、縦軸はコントラストです。
点像強度分布 点光源の像の強度分布を示したものです。1辺15.5ミクロンなので、直径約5ミクロンの光点になることがわかります。幾何光学的なボケ(収差)と波動光学的ボケ(回折)の影響によるものです。
エッジレスポンス ナイフエッジの像の強度分布とその微分を表したグラフです。
画像評価 物体面上に外形20ミクロン(線幅3ミクロン)の”F”字が描かれている場合、その像の強度分布を表した図です。収差と回折の影響によってF字の末端はやや細くなります。
公差解析 このレンズ系を加工、組立する場合に要求される精度について検討したものです。偏心の影響が大きいことがわかります。
温度変化解析 光学系の温度が20℃から60℃に変化した場合のシミュレーションです。熱膨張でレンズの曲率と厚みが増し、アルミ製の鏡筒も伸びます。さらにガラスの屈折率も変化します。このシミュレーションの結果、本レンズの倍率変化は1ミクロン以内で、ピントずれも30ミクロンと焦点深度内であることがわかりました。
透過率解析 使用したガラスの透過率を調べたものです。紫外域では吸収がありますが、400nm以上の可視域では大丈夫です。

●検査

検査系全景 解像力検査を行っているところです。被検レンズで解像力チャートの像を作成し、その拡大像をパソコンに取り込んで解析します。
解像力チャート実測画像 解像力チャートの像です。最小線幅2.2ミクロンまで分解しています。
製品外観 レンズを鏡筒に入れて組み立てたものの外観写真です。

均一照明光学系

上記のような画像入力レンズで物体の像を入力しようとしても、物体に照明ムラがあると像が不正確になります。
そこで、物体を均一に照明する光学系が必要になります。
この光学系はφ30の範囲を均一に照明するために設計した透過照明用の光学系です。
この照明系はケーラー照明を採用しており、コンデンサーレンズの射出瞳像を照射面に拡大投影することによって均一な照度分布を得ています。この方式をとると光源に輝度ムラがあっても照射面は均一に照明されます。

●仕 様

可視光用均一照明光学系

照射領域 φ30 照度分布 ±5%

●設計値

レンズデータ レンズデータです。この光学系は可視用なのでガラスには安価で質のよいBK7を用いていますが、紫外線を用いる場合は石英を使用します。

●シミュレーション

光路図 光源近くの5枚レンズが光源からの光を集めるコンデンサーレンズ。そのあとの1枚のレンズでコンデンサーレンズの射出瞳の像をを照射面に拡大投影しています。
立体図 ミラーで光路を曲げる場合は、立体図でのチェックが欠かせません。
照射形状 コンデンサーレンズの六角形状の射出瞳像が照射面に投影されます。
照度断面強度グラフ 照度分布のシミュレーション結果です。横軸は照射面上の位置、縦軸は照度です。これに見られるとおり、照度分布は±2%に入っています。