レンズ屋光学データ

耳慣れない光学用語を
初心者にもわかりやすく説明しました。

光学用語集

 

あ行

色収差 軸上色収差倍率色収差の総称。
fθ(エフシータ)レンズ 通常のレンズの歪曲特性は、y=f・tanθとなっている。
(yは像高、f は焦点距離、θは画角)
これに対し、歪曲特性が、y=fθとなっているレンズを fθレンズという。
光ビームをポリゴンを使って走査する場合に多用される。走査速度が一定になるからである。
円柱レンズ 円柱状の屈折面をもつレンズ。平凸レンズの場合はかまぼこ型になる。シリンドリカルレンズともいう。1断面にのみ屈折力をもつ。

か行

開口数  光軸上の1点から光学系に取り込まれる光束の角度を±θとしたとき、n ×sinθを物体側の開口数といい、θとして光学系から光軸上の結像点に向う光束の角度をとった場合は像側開口数という。英語ではNumerical Apertureといい、NA と略記される。
nは物体または像の周囲の屈折率で、空気中なら1。
解像力  光学系で分解できる2点の最小間隔。無収差光学系の場合は、 0.61λ/NA で表される。(λは光の波長、NAは開口数)
ガウス光学  スネルの法則の sinθ を θ と置き換えて得られる理論。
近軸理論ともいう。レンズの基本的な性質を把握するのに極めて有用。
この理論を使った光線追跡を「近軸光線追跡」と呼ぶ。
近軸光線追跡は行列式を用いると便利で、これに用いる行列式を、ガウシアン・ ブラケット と呼ぶ。
過焦点距離  無限遠にピントを合わせたとき、ピントボケが認められない距離のこと。
過焦点距離(ハイパー・フォーカル・ディスタンス)Hは、
H=f ^2/(δF)   (1式)
で計算できる。
ただし、f は焦点距離、δは許容するボケの円の直径、FはFナンバー。
無限遠にピントを合わせたとき、Hから無限遠までピントが合い、Hにピントを合わせると、Hの半分の距離から無限遠までピントが合う。
たとえば、16mm映画撮影用の標準レンズで、
焦点距離  f=15mm
許容錯乱円 δ=0.05mm
Fナンバー F=2
とすると、(1式)より、H=2.25mとなる。
ガルバノミラー  ミラーに軸を付け、電気信号に応じてミラーの回転角を変えられるようにした偏向器。レーザービームスキャンなどに用いられる。非共振型の偏向器なので、のこぎり波形型の電気信号やランダムな信号で駆動できる。
類似の偏向器にレゾナントスキャナがあり、こちらはは共振型の偏向器で、共振周波数の正弦波で駆動させて用いる。
ミラーを利用した偏向器ではポリゴンミラーが多用されるが、ポリゴンミラーは複数のミラーを回転させるため、再現性よくスキャンさせるにはいわゆる「面倒れ補正」が必要になる。一方、ガルバノミラーやレゾナントスキャナは単一のミラーを振動させるため「面倒れ補正」をしなくても再現性のよいスキャンができるのが特長。
球面収差  光軸上の1点から出る光線が光学系に入射する場合、入射点の光軸からの距離によって、光線が光軸と交わる位置が異なる収差。有効径の3乗に比例。光路図球面収差がある場合の画像参照。
共役・きょうやく 光学系における物体と像の関係。点Aと点Bは共役関係にある、というふうに用いる。参照。
近軸光線 光軸を通り、かつ光軸に対して小さい傾きをなす光線。
グレア 視覚に関する用語で、時間的・空間的に不適切な輝度の分布や極端な対比により、見え方が低下したり、不快感を覚える現象をいう。見え方が低下する場合は「減能グレア」または「不能グレア」といい、不快感を覚える場合は「不快グレア」、また長時間まったく対象が見えない激しい場合を「眩惑グエア」という。このほかに、印刷物が光って文字が読みにくくなる場合は「反射グレア」とよばれる。
コマ収差 光学系の軸外物点から出た光線束が像面で1点に集まらず、彗星の尾のように広がる収差。画角に比例し、有効径の2乗に比例する。光路図コマ収差がある場合の画像参照。
コンデンサレンズ 集光に使われるレンズ

さ行

サジタル面 光学系において主光線を含みメリディオナル面に垂直な面。球欠面ともいう。
作動距離 物体とレンズの間隔のこと。顕微鏡において、観察する物体と対物レンズの間隔を指す意味で多用される。英語では Working Distance といい、W.D. と略記される
軸上色収差 光の波長(色)が異なると、結像位置が光軸方向に異なる現象。参照。
射出瞳 像側から見た絞りの像のこと。絞りと像の間にレンズがある場合は絞りの虚像になる。
収差 光学系によって結像する場合、理想像からの幾何光学的なずれ。
主点 光学系全体を、それと同じ機能の1枚の薄い仮想レンズに置き換えた場合、その薄い仮想レンズと光軸の交点のこと。通常、物体側から見た主点と像側から見た主点は位置が異なる。
消光比 偏光ビームスプリッターや偏光板などの偏光素子を、直線偏光に垂直に配置した場合と平行に配置した場合の透過率の比。あるいはAOMなどの光強度変調器で光を強度変調した場合、透過光の最大強度と最小強度の比。
焦点 レンズに細い平行光を入射させたときの集光点。
焦点距離 焦点と主点の間隔のこと。バックフォーカスとは異なる点に注意。
焦点深度 レンズから撮像素子までの距離をLとしたとき、Lにはある許容範囲がある。この範囲を焦点深度という。許容範囲はレンズの使用目的によって異なる。
たとえば、写真レンズでは、フィルム上の許容錯乱円径をφとすると、焦点深度は、
±φF
と表される。ここでFは、レンズのFナンバーである。
φは、アマチュア用フィルムカメラで、画面対角線の1/1000〜1/1500(35ミリフィルムなら40μ〜30μ)、TVカメラでは画面横幅の1/300程度が目安だと言われている。
一方、回折限界光学系では、焦点深度として、
±2λF^2
の値が使われる。無収差結像点から2λF^2の距離だけ離れた位置で、波面収差がλ/4(レーレーリミット)になる。
像高 像面における、光軸と像点の距離。参照。
像面湾曲 平面物体の像面が湾曲する収差。光路図像面湾曲がある場合の画像参照。

た行

ダイクロイックミラー 特定の波長の光だけを反射するミラー。
テレセントリック 物体からレンズに入射する光が、光軸外においても光軸と平行になっている光学系を物体側テレセントリックという。同様に、レンズから像に向う光が、光軸外においても光軸と平行になっている光学系を像側テレセントリックという。テレセントリックな側は距離が変っても像の寸法が変らないので、寸法計測に多用される。
胴付面 顕微鏡対物レンズの取り付けネジの根元の当り面のこと。同焦距離(ショルダーハイ)とは、この面から物体までの距離。機械的鏡筒長とは、この面から接眼レンズ挿入口の当り面までの距離。

な行

入射瞳 物体側から見た絞りの像のこと。物体と絞りの間にレンズがある場合は絞りの虚像になる。

は行

倍率色収差 光の波長(色)が異なると、像高(倍率)が異なる現象。参照。
バックフォーカス 最も像に近いレンズから像までの距離のこと。
波面収差 物体の1点から光路長が等しい点を連ねた面を波面という。波面は光学系に入射する前は物点を中心とした球面だが、光学系を通過すると波面形状が変化する。像界においては、ほぼ像点を中心とした球面になる。完全な球面ならその後1点に収斂するので無収差だが、球面からずれがあると1点には集光しない。そこで、像界における理想球面波と実際の波面のずれを波面収差と呼ぶ。
半値幅 最大値の半分の値になる幅。たとえば半値幅10nmのフィルターとは、透過率が最大値の半分になる波長幅が10nmという意味。
非球面レンズ 通常のレンズは表面が球面または平面になっている。これに対して放物面や4次曲面など、球面でない面で構成されているレンズを非球面レンズという。CDのピックアップレンズや一部のカメラレンズで実用化されている。
非点収差 光学系の軸外物点から出た光線束のサジタル像面とメリディオナル像面が一致しない収差。光路図非点収差がある場合の画像参照。
フランジバック マウントの取り付け面から像までの距離のこと。
フレア レンズの表面や内部での反射光や散乱光、それに鏡筒、絞り、CCDの表面等で反射した結像に寄与しない光が結像面に達する現象。像のコントラスト低下やカラー写真の色の濁りを生じさせる。一般写真用カメラでは、フレアが1.5%以下ならば無視できるが、6%を越えると有害といわれる。像面で集光して偽りの像を形成する場合はフレアスポットとか、ゴースト像と呼ばれる。

ま行

無限系 有限系参照
メタルハライド
ランプ
金属蒸気と、ハロゲン化物の解離生成物との励起によって発光する放電ランプ。紫外域での発光もあるが、可視域での発光が多いため、発光効率がよい。約80ルーメン/ワットといわれ、ハロゲンランプの約4倍の発光効率を誇る。近年直流点灯のものが開発され、高輝度の可視光源として液晶プロジェクターやプロジェクションテレビなどの光源として多用されている。
メリディオナル面 光学系において、主光線と光軸を含む面。タンジェンシャル面または子午面ともいう。

や行

有限系 物点及び像点がともにレンズから有限距離にある光学系。片方でも無限遠にある場合は無限系と言われる。生物用顕微鏡の対物レンズは有限系、金属用顕微鏡の対物レンズは無限系のものが多い。
有効径 光軸上の無限遠点から出て光学系を有効に通過する光線束の、光学系に入射する前の直径。
用語集 光学関係の用語集には次のようなものがある。
1. 光技術用語辞典(小柳修爾著、オプトロニクス社、平成6年初版、8,500円+税)
2. 実用光キーワード事典(日本光学測定機工業会編、朝倉書店、1999年初版、6,000円+税)

ら・わ行

リレーレンズ  1つのレンズ系によって作られた実像を再び実像として結像するレンズ。たとえば潜望鏡などに利用される。
歪曲収差 倍率が像高によって異なる収差。英語ではDistortionという。タル型の歪曲糸巻き型の歪曲がある。

英語

MTF 正弦波パターンの像のコントラストの変化を空間周波数の関数として表したもの。OTFの絶対値に当たる。(JIS Z 8120 H5) Modulation Transfer Functionの略。光学系の伝達関数。通常は横軸に周波数、縦軸にコントラストをとって表示する。横軸にデフォーカス量をとることや、像高をとることもある。この場合は周波数は固定する。
ZEMAX 米国のFOCUS Software社が作成した光学設計プログラム。Windowsマシン上で動き、値段も$1500からと安価。